病棟の忙しさから離れて、高齢者の生活に関わる看護へ移りたい。介護施設を候補にするなら、最初に確認したいのは、夜勤とオンコールをどこまで担当するかです。施設の種類によって、求人の勤務形態は異なります。
中央ナースセンターの2024年度登録求人では、施設ごとに多い勤務形態が違います。
- 特養:日勤+オンコール44.9%、日勤のみ38.2%
- 老健:2交代制(変則を含む)56.7%
- ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム:2交代制39.0%、日勤のみ34.4%
看護師だけに限定せず、准看護師などを含む登録求人の集計です。
夜勤をしなくても、夜間の電話対応や出勤を担当する求人があります。夜勤なしを優先するなら特養の日勤求人を候補にする方法のほかに、老健や有料老人ホームの中から日勤のみの求人を探す方法もあります。施設名だけで決めず、夜間の担当と、医師に相談できる体制を合わせて確認します。
入所施設のほかに、自宅から通う人を支える仕事も考える場合は、デイサービスの看護師求人の記事で勤務条件を確認できます。
特養と老健では、求人の勤務形態が違う
中央ナースセンターの2024年度登録データ「第2章 求人」表2-3-1・表2-5-1による割合です(2026年11月6日確認)。求人数の単位は、求人票の件数ではなく募集人数です。
表は左右にスクロールできます。
| 施設種類 | 求人数 | 日勤のみ | 日勤+オンコール | 2交代制(変則を含む) | 常勤 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 8,013人 | 38.2% | 44.9% | 2.6% | 75.7% |
| 介護老人保健施設 | 6,478人 | 25.9% | 2.3% | 56.7% | 79.4% |
| ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム | 9,038人 | 34.4% | 10.4% | 39.0% | 57.1% |
確認日:2026年11月6日(日本看護協会・中央ナースセンター 2024年度登録データ 第2章 求人 表2-3-1・表2-5-1より)
このほかの勤務形態もあります。「常勤」は雇用形態として別に集計した割合です。
有料老人ホームとグループホームは、この表では同じ区分で集計され、サ高住の区分はありません。
夜間の電話も担当できない場合は、「日勤のみ」という表示に加え、オンコールの担当がないことを確認します。休日も譲れないなら、夜勤・オンコール・休みの条件で職場を絞れる比較ページで候補を選べます。
勤務時間の条件から探したい場合は、日勤のみ・夜勤なしの求人の記事も判断材料になります。
施設の種類から、関わりたい看護と相談先を選ぶ
病棟を離れると、処置や検査の件数だけでは仕事内容を判断できなくなります。厚生労働省の「看護職のキャリアと働き方支援サイト」では、老健・特養の看護に、感染症や転倒の予防、医療ニーズへの対応、医師や介護職との連携を挙げています。
日勤の業務例にも、医師の指示確認、投薬・創処置・吸引、清潔・排泄ケア、食事介助があります。「施設なら医療処置が少ない」と考える前に、応募先で担当する処置と介護の範囲を確認します。
特養は、生活支援と看取りに関わりたい場合の候補
特養では、入所者の生活を支え、看取りにも関わります。長く関わる中での健康管理や、本人・家族の意向を踏まえた看護を希望する場合の候補です。
国の人員基準では、医師は健康管理と療養上の指導に必要な数を配置します。看護職員も入所者数に応じて配置しますが、人数は常勤換算で定められています。
例えば、入所者が50人を超え130人以下の指定介護老人福祉施設では、看護職員は常勤換算で3以上です。これは勤務時間を常勤職員の人数に換算した基準で、毎日の勤務にそろう人数は施設ごとに違います。
見学では、平日と休日それぞれの勤務人数、医師が施設にいる時間、電話で相談する時間帯を確認します。
老健は、リハビリと退所支援に関わりたい場合の候補
老健は、入所者の居宅での生活への復帰を目指す施設です。厚生労働省も、看護職の役割としてリハビリと退所支援を挙げています。
国の基本的な人員基準では、医師は常勤換算で入所者数を100で割った数以上です。看護・介護職員の総数に対して、看護職員は7分の2程度を標準としています。
夜間に施設内で相談できるかは、医師の配置基準とは別に確認します。日勤のみで応募する場合も、勤務中の相談先と、夜間の担当者への申し送り方法を確認します。
介護付き有料老人ホームは、医師との連携と夜間体制を確認する
介護付き有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護では、看護職員の配置基準があります。一方、医師の配置は基準上求められていません。
病棟で医師へ直接相談していた場面を思い浮かべると、確認する内容が具体的になります。体調変化を誰に報告するのか、医師と連絡が取れない場合は誰に相談するのか、受診や救急搬送をどう判断するのかを確認します。
求人票に「有料老人ホーム」とだけ書かれている場合は、介護付きか住宅型かも確認します。施設の看護職員として働くのか、訪問看護事業所に所属して入居者を訪問するのかによって、確認すべき勤務体制が変わります。
グループホームは、看護職としての担当範囲を確認する
認知症対応型共同生活介護のグループホームは、認知症のある人の共同生活を支える事業です。国の基本の人員基準には、介護従業者や計画作成担当者を置くことが定められています。看護職員の配置は、この基本の人員基準には含まれていません。
看護師の求人がある場合は、健康管理や医療機関との連携をどこまで担当するか、介護をどこまで兼ねるかを確認します。看護職員が不在になる時間の対応も、応募前の確認事項です。
サ高住は、住宅の名称より勤務先と仕事内容を確認する
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者向けの住宅です。国土交通省の登録制度では、少なくとも状況把握サービスと生活相談サービスを提供することが求められます。
この登録だけで、看護職員の人数や医療処置の内容は分かりません。求人票では、所属する事業所、勤務する場所、訪問看護を担当するかどうかを確認します。
訪問看護の業務が含まれる求人を検討する場合は、訪問看護の求人の記事で、オンコールや指導体制の確認事項も見られます。
夜勤なしでも、夜間の連絡を受ける担当がある
特定施設の夜間の看護体制厚生労働省 第231回介護給付費分科会 資料4(令和4年度の調査)
同じ目盛りで比較できます。
夜間の看護体制がある特定施設1,139事業所に占める割合
応募先では、夜間の電話を誰が受け、自分がどこまで担当するかを確認します。
出典:本文末尾の資料
「夜間の看護体制あり」と書かれていても、看護職員が施設に泊まっているとは限りません。
厚生労働省の第231回介護給付費分科会資料4には、令和4年度老人保健健康増進等事業の調査結果が掲載されています。対象は、夜間の看護体制がある特定施設1,139事業所です。
夜間の対応の内訳は次のとおりです。
- 常に夜勤または宿直の看護職員が対応:14.2%
- 通常は施設の看護職員がオンコールで対応:57.1%
- 訪問看護ステーション・医療機関と連携してオンコール体制を取る:28.7%
令和4年度の調査結果の割合で、今の求人の割合とは別の数字です。
応募先では、夜間の電話を施設の看護職員が受けるのか、外部の看護職員が受けるのかを確認します。自分が担当する場合は、当番の回数と、実際に電話や出勤が発生した回数を分けて確認します。
- 看護職員1人あたりの当番回数と、当番を分担する人数
- 電話だけで対応した回数と、施設へ出勤した回数
- 判断に迷った場合の医師への連絡方法と、次の相談先
- 出勤した翌日の勤務調整と、待機・出勤それぞれの手当
夜勤は避けたいけれど、オンコールなら担当できるか迷う場合は、回数だけでなく相談先まで分かると判断しやすくなります。看護師の転職サービスに登録すると、希望する施設の求人探しと、求人票にない夜間体制の確認を依頼できます。
施設へ移って、どこまで担当するのか
画像はイメージです夜間の担当が分からない
- 夜間に誰へ相談できるか分からない
- 勤務中の看護職員の人数が不明
画像はイメージです体制を確認して候補を選ぶ
- 当番回数の確認を依頼できる
- 勤務中の看護職員数を確認できる
- 相談先を確認して候補を比べられる
知っておきたいこと
- 夜勤なしでもオンコールの担当がある
- 医師の配置が基準にない施設もある
自分の場合は?
- オンコールは月に何回担当しますか?
- 同じ勤務の看護職員は何人ですか?
利用は無料です。紹介される求人や聞ける内容は求人・サービスで異なり、すべてに回答があるとは限りません。
月給は、夜勤とオンコールの手当を分けて比べる
施設へ移った場合の収入を考えるときは、自分が担当する勤務で受け取る額を確認します。夜勤をしない条件なら、夜勤手当を含む給与例をそのまま使わず、日勤での給与額を確認します。
中央ナースセンターの2024年度登録データ「第2章 求人」表2-8-1にある、常勤求人の提示給与月額です(2026年11月6日確認)。
表は左右にスクロールできます。
| 施設種類 | 総支給額の下限額の平均値 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 231,017円 |
| 介護老人保健施設 | 230,206円 |
| ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム | 282,911円 |
確認日:2026年11月6日(日本看護協会・中央ナースセンター 2024年度登録データ 第2章 求人 表2-8-1より)
月額で給与を提示した常勤求人の、給与が「不明」のデータを除いた平均で、看護職全体の求人と、夜勤のある求人を含みます。
この総支給額は額面(税金や社会保険料を引く前の額)です。手取りは、そこから税金や社会保険料などを引いた額になります。
一方、厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」第70表では、看護職員の平均給与額は384,620円です。対象は、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の月給・常勤の看護職員5,867人で、平均年齢は51.8歳です。
この額は、2023年9月30日と2024年9月30日の両方に在籍している人の基本給と手当に、4〜9月に支給された賞与などの一時金の6分の1を加えた平均で、訪問介護や通所介護の事業所も含みます。
求人票の下限額と、在職者の一時金を含む平均給与額は、対象も金額の中身も異なります。自分の収入を確認する際は、次の金額を分けます。
- 基本給と、毎月定額で受け取る手当
- 自分の勤務条件で支給される夜勤・オンコールの手当
- 賞与の支給条件と、入職初年度の扱い
今の給与明細から夜勤に伴う手当を確認し、応募先の日勤での給与額と比べる方法は、夜勤なしの給料・手取りの記事でも確認できます。
見学で確認する、勤務の人数と急変時の連絡
施設への転職で気になるのが、看護職員の少なさなのか、夜間の判断なのか、介護との分担なのかによって、確認する内容は変わります。
看護職員の総数より、同じ時間に働く人数
求人票の職員数に加えて、自分が入る勤務で何人の看護職員と働けるかを確認します。平日だけでなく、休日と、欠勤が出た場合の体制も確認事項です。
急性期から移る場合は、医師への相談、検査、受診を施設内でどこまで行えるかを確認します。療養病棟から移る場合も、経験のある処置をその施設で誰が担当するか、介護職とどう分担するかを確認します。
医療処置と介護の分担
厚生労働省の日勤業務例には、医療処置だけでなく、清潔・排泄ケアや食事介助も含まれています。
見学では、健康管理や処置の時間に、入浴介助・食事介助・受診の付き添いをどのように分担するかを確認します。看護職員と介護職が、体調の変化をどこで共有しているかも確認できます。
急変時の連絡方法と看取りの方針
特養の運営基準では、医師や協力医療機関と、緊急時の連携方法をあらかじめ定めることが求められています。
応募先では、連絡手順が文書になっているか、医師につながらない場合の対応が決まっているかを確認します。看取りに関わる場合は、本人・家族の意向をどこで共有し、夜間は誰が対応するかまで確認します。
入職後3か月を目安に、実際の当番回数、相談できた相手、担当した処置を、入職前の説明と照合します。説明と異なる点があれば、勤務記録をもとに看護管理者へ相談します。
経験が浅い場合や、老健の日勤求人で迷う場合
2年目やブランクがある場合は、何を確認するか
応募資格を満たすかに加えて、入職後に誰から指導を受けるかを確認します。「未経験可」の表示に加えて、指導期間とオンコールの開始時期を確認します。
経験が浅い場合は、経験した処置と、指導を受けたい処置を分けて伝えます。ブランクがある場合は、最後に担当した時期も添えます。
応募先には、経験のある処置と、入職後に指導を受けたい処置を挙げて、どのような指導を受けられるかを確認すると具体的です。
老健でも夜勤なしで働けるか
2024年度のナースセンター登録求人では、老健の「日勤のみ」は25.9%でした。老健を候補に残しながら、日勤のみの求人を探す方法もあります。
ただし、この割合は常勤と非常勤などを含みます。常勤を希望する場合は、雇用形態と勤務形態の両方を確認します。
グループホームやサ高住なら、医療処置は少ないか
施設の名称だけでは決まりません。求人票で、担当する医療処置、入居者の状態、看護職員が不在になる時間の対応を確認します。
サ高住では、状況把握・生活相談サービスの内容に加えて、自分が所属する事業所と看護業務の範囲を確認します。
候補の施設の夜間体制と看護職員の人数を聞く
生活支援や看取りに関わりたい場合は特養、リハビリや退所支援に関わりたい場合は老健が候補になります。有料老人ホーム・グループホーム・サ高住を候補にする方法もあります。その場合は、担当する看護業務と夜間の相談先を具体的に確認します。
求人の条件は変わるため、応募の前に、求人票と事業所の募集要項で今の条件を確認します。
候補の施設について、オンコールの回数と勤務中の看護職員の人数を確認したい方は、看護師の転職サービスに登録すると、求人探しと職場の情報の確認を依頼できます。
- レバウェル看護:希望に合う求人探しに加え、自分から聞きにくい条件の確認や、給与などの条件交渉を相談できます。
施設の夜間体制と看護職員の人数を聞く
希望する施設の種類を伝えると、オンコールの回数と勤務中の看護職員の人数の確認を依頼できます。
利用は無料です。紹介される求人や聞ける内容は求人・サービスで異なり、すべてに回答があるとは限りません。
登録後の相談では、候補にした施設の種類を伝え、「オンコールは月に何回担当し、その勤務では看護職員が何人いますか」と確認を依頼します。